研修期間と認定考査
認定考査は、準備さえすれば落ちる試験ではありませんが、逆に準備をしないと合格することは難しいです。
研修期間は、グループ研修があります。
コロナの状況下でどのように実施するかは分かりませんが、リアルにせよオンラインにせよ、受け身で参加するのではなく、積極的に参加しましょう。割とそこで力はつきます。
単純に同期の中でも積極的にリーダーシップを取っておいたり、みんなのために何かするというのは、今後の長い司法書士人生の中でもやっておいて損はないです。
同期は困ったときに助けれくれる仲間ですので、良い関係を作っておきましょう。
さて、今回は、認定考査に合格するのに必要な書籍や対策をご紹介いたします。
研修の課題図書と試験対策に最低限必要なもの、試験対策に必要なことなどを説明していきます。
研修、認定考査対策必須書籍
認定考査に合格するという観点はもちろん、今後の実務に役立つという観点で必須の書籍をご紹介します。
まずは認定考査の試験対策としては、以下の2冊は必須です。
要件事実の考え方と実務〔第4版〕
この書籍で要件事実は、範囲としては網羅しています。研修をちゃんと受けて、この本を何度か読めば、ある程度理解できます。
特に、売買、賃貸借、(金銭)消費貸借、のいわゆる「ばい、ちん、しょう」を軸に建物明渡請求や請負等を補充していきましょう。
ばいちんしょうが基本の類型になります
法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引 令和5年版
代理権の範囲、倫理はこの書籍で対策しましょう。後半にあるQ&Aを3回繰り返しておけば十分です。根拠条文を覚えられれば完璧ですが、迷ったら、伝家の宝刀
「司法書士倫理に照らし、受任すべきではない」とか、
「司法書士倫理に照らし、受任する際には、相当の注意を払い、違反の恐れがあると判断した場合は速やかにしかるべき対応を取るべきである」
と回答しておけば、大けがはしないでしょう。
(もちろん、受任可能な場合は、リスクを検討し、問題ない、と判断して差し支えありません)
加藤新太郎先生の書籍で分かりにくければ、以下の書籍もおススメです。
新問題研究要件事実―付ー民法(債権関係)改正に伴う追補
その他の予備校本も良いのですが、知識面では上記の書籍で十分と言えば十分です。
ただし、過去問の演習は別途必要です。したがって、書籍なら以下の書籍を活用しましょう。
中には同期が勝手に過去問を回してくれたりするのですが、それに抵抗があるか方は、以下の書籍で対策すれば十分です。
認定考査対策
対策で重要なのは、
- 研修の課題を一生懸命やり研修中も積極的に議論等に参加する
- 上記の書籍を最低2回は読む(できれば3回以上)
- 認定考査の過去問をやる(最低5年分2回ずつ)
これで対策としては最低限クリアです。
それぞれの階数は多いほど良いです。できれば過去問も10年分、3回ずつやれば安心でしょう。
そうは言っても、欲張りすぎず、決まった範囲をしっかりと繰返しましょう。
研修期間を除いた、試験対策に必要な準備時間は、20時間~60時間程度です。
予備校の講座は必要か
予備校でも認定考査の対策講座は実施されていますが、正直必要ないです。
時間とお金に余裕のある方は聴いてみても良いと思いますが、合格に必須ではないです。
さらに合格後、実務では自ら学んでいくことも重要です。専門書籍と条文と向き合って学習を進めていく訓練という意味合いもありますので、予備校の講座はむしろおススメしません。
簡裁訴訟代理等能力認定考査への挑戦について
これは絶対に認定は受けておいた方が良いと断言できます。
今後の業務をする上では、選択肢が広がります。合格後数年経ってから取得するのは、研修の参加の難しさや、試験対策の時間の確保など、負担が大きくなります。
合格の年度にしっかりと認定を受けられるように準備しましょう。
ダメでも翌年度には必ず取得できるようにしないと、結局取らずしまいということになってしまいます。
登記業務しかしない、成年後見しかしないという場合でも活用する場面は出てきます。
不動産会社、法人のお客様からの債権回収の相談や手続きの依頼などの直接的な活用はもちろん、後見業務でも裁判所類の作成等の必要性があったりと、間接的にも知識が役立つ場面は出てきます。
利益相反の考え方も相続の場面で役立つこともあります。
いずれにしても、司法書士になったからには、簡裁代理権は持っておいた方が良いでしょう。周りの人は当然持っているものと思っていますので。
合格後は、自らが多くの選択肢から進んでいく必要があり、割と忙くもあります。
そんな中でも、しっかりと考査にパスして、司法書士に関する試験を本当の意味で卒業しましょう。