語学と司法書士(渉外司法書士という選択肢)

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目次

来日外国人と法改正の流れ

日本の外国人の労働者、観光者などの現状

現実問題として、「10年前20年前と比べて、比べて外国人が増えた」と実感している方は多いでしょう。
コロナの影響で観光客は一時的に激減しているものの、観光客以外の就労者は、当たり前のように定着しています。
特に東京などの都市部では、コンビニで働いている方はほぼ外国人ですし飲食店、居酒屋などのサービス業では特に増えています。

外国人労働者数は、厚生労働省によると
2019年10月末時点で約146万人
労働者に関する届出が義務化されてから過去最高のようです。

また、コロナの前までは、観光客も相当多いなという印象を持つ方も多いでしょう。
実際に、「日本政府観光局(JNTO)」の発表する年別訪日外国人数の推移によると
2013年は、約1036万人(10,363,904人) に対し
2018年は、約3119万人(31,191,856人)と
5年間で3倍以上と爆発的に増えています。
(リーマンショック後と東日本大震災後は一時的に減っています)

コロナウィルスの一時的な(相当大きな)影響があるとはいえ、今後も高い水準を維持していくでしょう。
もちろん、今後はどうなるか分かりませんが、少なくともビジネスの領域においては、外国人の労働者等の増加の流れは止まらないと考えます。

外国人労働者に関する法整備

2018年12月に出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律が公布され、また、2019年4月1日からは、改正出入国管理法が施行されています。

これにより、今後、介護・ビルクリーニング・建設・産業機械製造・農業・漁業など多岐に渡る業種にて外国人の受け入れが加速していくことが予想されています。

司法書士に語学は役に立つ?

活かせる仕事は多くある

仕事の多くは日本語の日本の法律ですので、多くの司法書士が日本語以外を業務として使うことはほぼありません。
多くの人がそのような案件に関わっていないので、情報は少ないです。

しかしながら、多くの人はやっていないだけで、いわゆる渉外業務と言われる分野があります。
外国人や外国法人からの依頼を受ける業務全般を渉外業務・渉外事務などという呼び方をします。

相談する相手や情報を得る相手は、実際に渉外業務をしている方が良いでしょう。
実際に渉外案件をやっていない人に相談するのは絶対にやめましょう。
全然やっていない人に聞くと「そんな仕事はほぼないよ」と言われ、「そりゃそうだ」という話にしかなりません。


これは他の相談事も同じで、独立して成功している人に独立後のことを聞かないと、「独立しても大変」「大した稼げないよ」と言われ、上手くいっている人に聞くと「上手くいくよ」「やりがいあって楽しいよ」と言われるのと同じです。
まあ実際にはいきなり上手くいくのではなく、最初は大変なことも多いので、どちらにしても受取り方には注意が必要です。

自分の先にいる人、目指す方向にいる人に話を聞かないと、根拠も実態もないその人のただの印象、感想になってしまいます。

語学が活かせる具体的な業務

弊所は行政書士の業務もしているので、行政書士の業務も含みます

外国人が関与する会社の設立、外国法人、海外の企業法務

海外の企業法務、国際私法などの知識が必要な顧問のような業務から登記に関連するものなど色々とあります。
ちなみに弊所は、登記関連の業務はしています。
会社の設立、増資、役員変更、定款変更、許認可業務などです。

会社の設立は経営・管理ビザの取得とセットになることが多いです。
「経営・管理ビザ」とは、500万円以上の投資があること、または、2名以上の常勤職員がいること、実際に経営をすることなどを要件に、在留することができるビザのことです。
日本に住みたい、日本で事業をしたい、日本で不動産投資をしたいという方に多いです。

【弊所の場合】
ドイツ人の弁護士が一緒にやっている司法書士に案件を振ってくれるので、英文やハングル文字、翻訳文、読めない言語のの会社関係書類などを事務所内で目にします。
英文と訳文を付けるので、定款の作成は、慣れや得意な方がいるということで、いつも同じ公証役場を利用しています。
相続については、外国人や国外に住んでいる日本人の相続など、他業種の方や同業の方などからも相談や依頼を受ける程度には扱っています。

ビザ関係

年々増え続けている、外国人労働者なしには成り立たない。
法改正も受け入れやすい流れになってきています。
福祉業界やコンビニなどサービス業、ビルメンテナンスなどの業務は労働者人口の減少の対策として、
IT企業などは、安い労働者としてではなく、様々な分野の優秀な人材の受入れの人事政策として進めている印象があります。

不動産の決済

売主又は買主が外国人というパターンです。
特に中国系の方が多い印象です。投資用での決済は一時期非常に多かったです。

震災後からコロナショック前までは、日本がどんどん買われていってしまうという危機感を持ったものです。
ただ、不動産の決済の場面では、外国人だとしても、日本で住民登録、印鑑登録をしていることが多いので、あまり特別な手続きを要しないことが多いです。
不動産決済の場合は、日本語話せる方が多いです。

海外・外国人の相続

海外在住と日本人の国籍を離脱し帰化しているパターン、(被)相続人に外国人が含まれるパターンがあります。

不在者となっている場合も多く、困難案件になりがちですが、逆に、手に負えない分、同業からの相談や依頼も多いです。

渉外司法書士になろう

語学力がある方は、渉外司法書士になることも選択肢の一つです。

では、語学力を活かし渉外司法書士を目指した場合は、渉外の事務所に入るか、数ある案件をこなしている事務所内で、優先的に担当にしてもらい経験を積むか、はたまた、自力で渉外の分野を開拓していくかになるでしょう。

渉外案件は、地域性があります。外国人(労働者)が多い場所が条件になります。

渉外専門事務所ではない場合は、数件きた渉外案件を積極的に担当し経験を積んでいきましょう。独立したときは、独立後も案件を紹介してくれる可能性もあります。前職の繋がりなどは非常に重要です。

語学に自信のある方、語学を活かしたい方は、渉外司法書士を目指してみてはいかがでしょうか。
まだ競争が少ない希少価値がある分野ですし、今後ニーズは増えていくと思われます。

未来予想という点では、拡大していく分野ですし、選択肢がかなり広がると考えられます。今から実績を積めば、経験と実績で差別化もできます。
専門性が活きる分野で、単価も下がりにくいでしょう。

語学力・コミュニケーション力、柔軟な対応ができる方にとって、活躍できる分野の一つです。

   

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